矢野京介弁護士による「江戸川区情報公開条例の一部を改正する議案についての意見書」を公開

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葛西臨海ドリーム法律事務所の矢野京介弁護士/本人のFacebookより

(編集部注: 葛西臨海ドリーム法律事務所の矢野京介弁護士が、「江戸川区情報公開条例の一部を改正する議案」に対して、作成した意見書を、本人の許可を得て、転載します)

江戸川区情報公開条例の一部を改正する議案についての意見書

平成28年9月22日

江戸川区長 多田 正見 殿

葛西臨海ドリーム法律事務所
弁護士 矢 野 京 介 

1 江戸川区情報公開条例(以下、「本条例」という。)の一部を改正する議案の中で、 区長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び議会が、権利濫用を理由に、行政文書の開示請求を拒否することができる規定を新設しようとされている点について、以下のとおり、反対意見を上申いたします。

2 まず、開示請求の権利濫用の想定事例として挙げられている、開示によって得た情報をもとに違法又は不当な行為を行うことを目的とする場合、特定の個人を誹謗・中傷・威圧することを目的とする場合、開示請求により得た情報を不適正に使用して第三者の権利利益を不当に侵害することを意図する場合等については、実際に起こり得るであろうことは、経験則上、理解できます。しかし、これらの場合は、現在でも、本条例第7条第1号乃至7号により、開示を拒否することが可能ですから、現時点で、新たに権利濫用条項を設けなければならない理由としては説得力に欠けると思います。

3 次に、大量の文書を開示請求する場合であるとか、同じ文書を繰り返し請求する場合等も権利濫用の想定事例として挙げられているようですが、事務手続きの煩雑さ等の自己都合で開示を拒否するとすれば、「区が区政の諸活動を区民に説明する義務を全うし、もって、区民の区政への参画の促進を図り、区民との信頼関係のもとに、公正で開かれた区政の推進に資することを目的」とする本条例の趣旨に反し、区民の理解は到底得られないでしょう。悪意の開示請求者がいたとしても、大量文書の開示請求に対しては、現在でも文書の特定(本条例第6条2号)がなされていないとして開示を拒否することは可能と解されますし、同一文書の再開示請求については、理由の説明を求める等の方法でも対処は可能と考えられます。また、権利濫用の想定事例を規定化するとしても、少なくとも本条例第7条各号に具体的要件を定めて限定列挙するに留めるべきと思料します。

4 無限定の権利濫用規定は、公的機関による情報隠しに悪用され易く(食糧費情報の非開示決定が取り消された判例として、仙台地裁平成8年7月29日判決、大阪地裁平成9年3月25日判決等)、導入すべきではないと考えます。昨今の地方自治体の首長・議員の辞職事例を見るに、これからは地方自治体の税金の使い道が厳しく問われる時代に入ることは明らかです。本改正案は、時流に逆行するものとして、区民の批判の対象となる懸念があるように思います。

以上

葛西臨海ドリーム法律事務所
http://dreamlaw.jp

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